紀尾井ホールで新内の公演を聴きにいく。入場は無料なのに、内容はとても充実していた。新内は哀切の情の押し引きがとても難しい。と思う。そのバランス感覚は経験と感性だろう。情緒過多では疲れてしまうし、逆に「ここは突き抜けてほしい」というところもある。今回の『三の会』の主催である新内三代音さんはその押し引きが上手い。大きな感動はなくても、しみじみ良いなと思う。
三の会、今年で二回目だそう。無料、そして前日にお願いしたにもかかわらず快く席を取っておいて下さったことも、忘れぬうちに附しておく。今や聴きたくてもなかなか聴けないジャンルなだけに、貴重である。