2008年6月9日月曜日

秋葉原通り魔事件

こんな凄惨な事件が、あまりに身近なところで起きたことが衝撃だった。

発生から一時間後くらいにたまたま現場を通った。自転車で有楽町に向かい中央通を南下していたのだ。異変は末広町で気づいた。はじめは昔のヤマギワのような大きい火事だと思った。交差点に近づいてみると溢れんばかりの人だかりで、立ち入り禁止のテープが張られている。野次馬たちを見ると中心はこの交差点に違いない。

おかしいと思って近くの人に聞いてみると、通り魔が通行人を刺したらしいと言う。家に帰るまでその全容は知らなかったが、それを聞いて、その場にいる野次馬たちの、デジカメや携帯で写真を撮る行為が腹立たしく思えてきた。火事ならわからないでもない。しかし実際に亡くなった人も出た事件現場を写して何になるの?

「こんなに緊急車両が集まってんの初めて見た」と言いながら、携帯を構える同じ年頃の奴もいた。一瞬胸ぐら掴もうかと思ったが、すぐに思いとどまる。とどまざるを得ないくらい、周りが(万世橋の上でさえ)、皆々が携帯をかざしていた。本当に多かった。

不謹慎だとか、倫理観がどうだとか、そんな言葉を出す以前の問題でしょ。という考えは、同じ一般的な日本人と必ずしも共有しているものではなく、むしろ個人的な、おれの独りよがりな考えに過ぎなかったのだろうか。圧倒的多数の相手を前にすると、そうとしか思えなくなってくる。つい今まで自明だと思っていた一定の決まりや秩序が実は通用しない(あるいは存在しない)のだ。そう思うと今回の凶悪犯のみならず、周りにいる人間たちさえも恐ろしくなってくる。電車内のモラルの話だって、おれの知らないところに別のルールがあって、単にあれは自分の思い込みを押し付けていただけだったのかもしれないし。

NHKのニュースでも野次馬が携帯で撮った写真を使っていた。別に変わったことではない。今までも確かにそうだったのだんだろう。でもこの動揺っぷりったらない。

世界を見る目がずいぶんと変わった。

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